AEDの区切り線

【突然心停止の原因】

1.心室細動

心室細動とは、心臓の心室が小刻みにふるえた状態になり、脳やからだに血液を送り出すことが出来なくなるため、数分間続くと死にいたる危険な不整脈のことです。
このような心室細動を伴う心臓突然死を起こす人の多くは、虚血性心疾患(心筋梗塞など)や肥大型心筋症といった心臓病を持っています。
日本における突然死は、年間約8万人と推定されています。およそ半分が心臓病による突然死で、毎日100人以上の方が亡くなっています。そして心臓突然死のほとんどは心室細動が原因です。
心室細動を起こすと3〜5秒で意識を失い、呼吸が停止します。
心臓マッサージなど心肺蘇生術だけでは救命できません。
発祥から1分経過するごとに10%ずつ救命率がていかするといわれており、少なくとも5分以内、それもできるだけ早期の除細動が救命にとって大切といえます。
報告によると、救急救命士による心臓突然死の救命率は約3%でるが、ここまで低いのは、病人が倒れてから連絡まで、そして救急隊が現場に到着して除細動を行うまでに併せて10分以上の時間がかかってしまうからです。
(財団法人 日本心臓財団 ハートニュースより)

2.心臓振盪(しんとう)

心臓震盪は胸部に衝撃が加わったことにより心臓が停止してしまう状態です。
多くはスポーツ中に、健康な子供や若い人の胸部に比較的弱い衝撃が加わることにより起こるのですが、あまりよく知られていません。

比較的弱い衝撃 :胸骨や肋骨が折れるとか、心臓の筋肉が損傷するような強い衝撃ではありません。
子供が投げた野球のボールが当たる程度の衝撃で起こります。
心臓の真上あたりが危険な部位です。

心臓震盪は衝撃の力によって心臓が停止するのではなく、心臓の動きの中で、あるタイミングで衝撃が加わったときに、致死的不整脈が発生することが原因と考えられています。
アメリカでは2002年に128例の心臓震盪症例のデータが集積されてましたが、多くは18歳以下に起こっています。子供は胸部が軟らかく、衝撃が心臓に伝わりやすいからです。
野球やソフトボール、アイスホッケー、ラクロスなどの球技やアメリカンフットボール、サッカーなどコンタクトスポーツにおいて発症していますが、日常の遊びのなかでも起こり得ます。
ドッヂボールやサッカーボールの胸でのトラップなど大きく軟らかいボールでは発症しないようです。
「心臓しんとう」が発生したら、ポンプ機能を果たさなくなった心臓に電気ショックを与えて、元の状態に戻す除細動が必要になります。
心臓しんとうは子供たちに発生しやすいものですが、適切な処置をすぐさま行うことで、その命を救うことが出来ます。
2007年4月、春季高校野球の地区大会中に、ピッチャーライナーを受けて心停止に陥った高校生が、学校に設置されていたAEDによって救命された事例がテレビや新聞で報道され、話題となりました。
これにより、心停止は大人だけのものではなく、発育途上にある子供にも「心臓震盪(しんとう)」といった形で発生しうることが、知られるようになりました。